大桜の下

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その後二人は何も言わず、ただ黙々と歩いた。 そうしておよそ小一時間歩き続け、目的地の大桜に着いた。 今の時期、桜は咲いていないが鮮やかな緑の葉が空を覆う程に茂っている。 その大きな木陰には休んでいる老人や、はしゃぎながら走り回る子供たちの元気な姿があった。 日影に入ると、茂吉は立ち止まり、辺りを見回した。 すると、誰かがこちらに手を振っていた。 「おい!大護!こっちだこっち!」
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