11人が本棚に入れています
本棚に追加
その後二人は何も言わず、ただ黙々と歩いた。
そうしておよそ小一時間歩き続け、目的地の大桜に着いた。
今の時期、桜は咲いていないが鮮やかな緑の葉が空を覆う程に茂っている。
その大きな木陰には休んでいる老人や、はしゃぎながら走り回る子供たちの元気な姿があった。
日影に入ると、茂吉は立ち止まり、辺りを見回した。
すると、誰かがこちらに手を振っていた。
「おい!大護!こっちだこっち!」
最初のコメントを投稿しよう!