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小音は大護の手をぐいと引っ張り、走り出した。
あまりの勢いに大護は前のめりになる。
「ちょ…」
引きずられるような形で走る大護は、抗議の声をあげようとした。
しかし、小音がいきなり止まったので、大護の体は勢いあまって前に倒れた。
「草治、霞!連れてきたぜ!」
(くっそ~なんでこいつはこんなにこうなんじゃ!)
大護地面に突っ伏しながら思った。
すると、目の前に細い手がスッと伸びて来た。
「大ちゃん、大丈夫?」
心配そうな顔で大護の顔を覗き込む色白の少女は霞だった。
「おうよ…。」
大護は霞の手を取り、服についた砂を払いながら起き上がろうとした。
すると、上から声がふって来た。
「おまえ、何やってんの?」
大護が顔を上げると、大桜の枝の一本に座りながら、林檎をかじる少年の姿があった。
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