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「『桜』は五つの唱印の中でもかなり特別だ。扱う人により、能力はかなり違って来る。
例えば、俺の場合は自然の力を少し操ることができた。そう、最初はこんなふぅにな」
茂吉は、指をパチンと鳴らした。
すると、草次が持っていた林檎がゴオと音をたてて炎をあげた。
「うぉっ!!」
草次は思わず林檎を手放した。
林檎はぽとりと地面に落ちると、グシャリと無残に潰れた。
「あぁ…俺の林檎がぁ…」
「悪いな。草次。最初は、草次の林檎を焼き林檎にする程度だったが、鍛えると、こうなる」
茂吉は、掌をみんなに見せるように前に出した。
次の瞬間、茂吉の掌から炎が吹き出した。
「わわわっ!」
皆は思わず顔を背けた。
「ちょい下がるかぁ」
喜与助がそういう前に、五人はすでにかなり茂吉から離れていた。
茂吉の掌の炎は、ぐるぐる渦を巻き、みるみるうちに巨大な火の玉となっていた。
「す、すげえー」
大護は目を輝かせた。
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