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「喜世助、行くぞ」
茂吉はそう一言言うと、腕を大きく振り上げた。
そして、直径1メートル程の火の球を勢いよく喜世助に投げ付けた。
「えぇっ!!ちょ、ちょっと待って…」
喜世助が言い終わらないうちに、その火の球は爆音とともに喜世助に直撃した。
「うおおじちゃん!喜世さんに何すんじゃあ!」
大護が驚きの声を上げる。
「大丈夫だ。あのくらいではあいつはかすり傷さえ負わん」
茂吉はふんと鼻をならした。
「あいつもあれで一応桜の紋の唱人だからな」
喜世助が立っていた場所には、もくもくと真っ白な煙がたっていた。
「いやぁびびった」
真っ白な壁の中から、喜世助の声が聞こえた。
「大丈夫ですか!?喜世さん!」
近くにいた小音が煙の中の影に駆け寄る。
「おっ、大丈~夫」
喜世助は、平然と煙の中から出て来た。
やけどどころか、かすり傷一つない。
五人は驚きを隠せなかった。
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