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うす曇りの空の下、桜の花が咲いていた。
他の桜は五分咲きくらいなのに、何故かその桜の樹だけが満開で…。
見上げたピンク色の間から覗く灰色のコントラストが綺麗で…。
彼は桜の樹の下に座り込むと、読みかけの本を開いた。
ゆっくりと流れる時間の中、だいぶ暖かくなったそよ風が頬に気持ちいい。
いつの間にか読みかけの本の残りが少なくなっていた。
気が付けば、日が陰っている。
その陰が人工的に作り出されたものだと気付き、彼は視線を上げた。
その視線の先にあったのは、忘れようもない面差し。
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