サクラ

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レンは、署を出た後 細い路地裏を歩いていった。 古いレンガのようなビルの 最上階がサクラの住居だ。 少し錆びれた階段を登る。 『確かに、こんなところに住んでたら エアースケートは便利だな』 レンは、ポソっと呟くと サクラの部屋のドアを開けた。 『おぃ!サクラ。』 サクラは、ベランダに腰掛け タバコをふかしている。 『おい。』 レンは無反応のサクラの肩を引っ張る。 『泣くなよ。』 『泣いてない!』 『ったく!』 レンは、サクラの横に腰掛けた。 『ったく、チーフもお前も素直じゃないねー。』 レンは、タバコに火をつけながら ぼやいた。 『ここに来ると、昔を思い出すよ。 お前、仕事に支障あるといけないからって理由で 俺に別れを告げたよな。今、思うと笑い話だよ。』 『あの時は、仕事に追われていっぱいだったんだよ!笑』 サクラは、瞳に涙を溜めながら笑った。 笑った拍子に涙がポロッと落ちる。 『そんなに、チーフが好きなんですか?笑 俺、一時期マジで思ったことがあるよ。笑』 『そんなんじゃねーよ。シバさんは、私の恩人。 どうしても、その恩を返したかったんだよ。 死んだ父さんの代わりに一所懸命世話やいてくれたからさ。 シバさんの下で一生働いていく事が私の全てだったから。』 『サクラ。チーフの下で働く事だけが、恩じゃないよ。 他の部署でも精一杯頑張って、その姿を見てもらう事も 同じ意味を持つんじゃないかな? 特別捜査って、選ばれた人材しか配属されない部署だろ? お前だから、選ばれたんだよ。素直に受けろよ。 それに、お前知ってた?特別捜査課って…隣の部屋だぞ。笑 寂しい時は、いつでも来いょ。笑』
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