先輩

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最初はびびった。そりゃあびびるだろ?何時も一匹狼の恐い先輩が自分に話し掛けてきたんだから。 どうやら先輩も俺のことを「兄貴と同じ部類」だと思っていたらしく、さっきの佐々木先輩みたいな質問をしてきた。その時俺は先輩相手にやってしまいました。 はい、キレました。 剰え殴りました。神城先輩を。 あの時は個室でベースの練習してて、俺と先輩しかいなかったからよかったが(よくはないが)神城先輩をぶん殴ったなんて知れたら大変なことになる。確実に兄貴が勘違いとかして阿呆なことを神城先輩に言うだろう。 例えれば「俺似の綺麗な顔を傷付ける気か」とか「手を怪我して家事ができなくなったらどうするんだ」とか。 まぁ、結局兄貴に知られることはなかったが、何故かその一件以来神城先輩は俺を構うようになった。 別に、それは嫌ではないし、寧ろ先輩の知らなかった色々な面を見れるようになって嬉しいと思う。 だが、今のこれは少し…否、かなり目立っている。 先輩は俺の手を掴んだままズンズン廊下を進んでいく。傍から見れば「これからヤキ入れ」見たいな感じだろう。 「先輩、何処いくんですか?」 「あ゙ー?何処がいい?」 俺が決めていいんですか。 言うなれば何処へも行きたくないのだが…その提案は却下されそうだな。 …と言うか、先輩屋上に行く気だろう。何時もあそこでゴロゴロしてるし。 「屋上行くんですか?」 「ん、嫌か?」 「いえ、俺屋上好きですから」 俺がそう言うと、先輩はニッと笑った。 皆の前でもそうやって笑えばいいのに…と、前に一度言ったことがあるのだが「楽しくもねぇのに笑えるか」と言われた。じゃあ、俺といる時は楽しいのだろうか。
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