3人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなことを考えてるうちに屋上に着いた。今日は天気もいいから、絶好の屋上日和だ。そのため、先客が何名かいたのだが、神城先輩の登場にそそくさと出ていった。さすが先輩。
先輩は落下防止のフェンスに寄り掛かると、じっと俺を見ていた。特に居心地悪いと感じることもなく、先輩の隣まで歩いていって同じようにフェンスに寄り掛かる。
「何ですか?」
「今二人だろ」
先輩の言葉に一瞬きょとんとしたが、すぐに理解した。
「あー…別にいいじゃん。敬語でも」
「よくねぇから言ってんだろ」
先輩は俺が敬語を使うことを嫌う。けれど、神城先輩相手にタメ口使ってたりしたら、多分同級生の部活仲間は俺と会話をしてくれなくなるだろう。
だから、先輩と二人だけの時だけは敬語を使わないようにしている。
「で、何か用があるんだろ?」
「んー?」
俺の問いに気のない返事を返し、その場に座り込んだ先輩に目線を向けると、何処か呆れたような先輩の目線にぶつかった。
「お前さぁ、自分のことに関してはかなり鈍いよなぁ」
「行き成り失礼だな」
「はぁ…」
溜め息を吐いて額に手を当てる先輩を爪先で小突くと、その足を片手で抱えられ倒れそうになった。
「ぉわ!?」
「痛ぇよ」
「嘘」
「まぁな。つか、お前も座れ。首が疲れる」
そのまま足を引かれ、無理矢理座らされた…否、座ったというよりは尻餅をついたといった方が正しい。
臀部の痛さに恨みがましく睨めば、先輩は楽しそうに笑った。
本当に俺の周りの先輩は変わった人が多い。その中では佐々木先輩が断トツで変わっているのだが。
「お前は自分に興味ねぇのな」
「俺は兄貴とは違う!」
「そう言う意味じゃねぇよ」
最初のコメントを投稿しよう!