先輩

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急にむきになった俺に、また先輩が可笑しそうに笑った。 「まぁいい…。何でもねぇから気にすんな」 「何だよ…」 聞いてみるが、答える気はなさそうだ。それどころか、別な話題を持ち出してきた。 「あー、そういや佐々木の奴…」 「佐々木先輩?」 行き成り話題にあがった先輩の名前に反応する。 神城先輩は佐々木先輩と同じクラスだが、特に仲が良いわけではない。それなのに話題にあがると言うことは、やはり兄貴のことで何かあったのだろうか? 「佐々木の奴がよぉ」 「ん、何?」 「ナルシストになるとか騒いでたぜ」 ……………。 …うん、何故だろう。可笑しくもないのに口元が引きつる。 と言うか、ナルシストはなろうと思ってなれるものか?あれはおそらく生まれ持ったモノだと思うのだが…。 「あー…っと、俺はどうすればいい?」 「まぁ、見守ってやれや」 そうか…うん。 止めたところで、あの先輩が素直にやめるとは考えにくい。 「俺…これから佐々木先輩にどう接すれば……」 遠い目をしている俺の肩に、先輩が腕を回した。 「頑張れ」 「………」 これも一種の青春か…と、何処までも青い空を仰いだ。
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