兄弟

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俺の名前は廣瀬晴久。至って平凡な高校生である。 身長は173と割と平均であり、勉強は中の上、スポーツは結構できる方だ。ただ、両親が共働きの為、その辺の男子高校生よりは断然家事ができる…ただそれだけ。 そして俺には兄貴がいる。 兄貴は俺と違って身長は高いし勉強はできるし、そんでスポーツも得意だ。誰もが兄貴に憧れて、そんな兄貴をもつ俺を羨ましがった。俺もそんな兄貴が自慢で誇りだった……そう、誇り「だった」んだ。 兄貴に対しての考えが変わったのは、確か俺が中2で兄貴が高1の時だ。俺と兄貴が中学生の時、やはり兄貴は人気者で女の子からもモテていたんだ。だけど、兄貴は彼女とか全然つくんなくて「何でだろ?」と何度か思ったが、高校でつくる気なんだろうと思ってあまり気にはしなかった。 けれど、高校に入学しても彼女をつくる気配はまったくない。毎日のようにラブレターやらプレゼントやらを貰ってくるのに…だ。 別に彼女をつくるつくらないは兄貴の自由だから、俺がとやかく言うことではないのだが、どうしても不思議なものだから聞いてみた。どうして彼女をつくらないのか…と。そしたら………。 「傍に置いておくなら、俺より美しい人がいいだろ?けど、俺以上の人なんていないからな…」 ………と、ちょっと切なげに話されてしまった。 その後も「本物の美」がどうこうとか、何故か「綺麗な肌を保つ秘訣」だとかを聞かされてしまった。俺のほろ苦い思い出だ。 …で、そんなこんなで「兄貴はおかしい」という結論に結びつき、ナルシスト嫌いな俺が誕生したわけだ。
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