兄弟

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兄貴の方に目線を向ければ、平然とスープを口にしている。この男の舌は欠陥があるんだ。そうに違いない。 しかし、やはり兄貴の親切は無下にできず、結局気合いでそれらを平らげた。何で俺たち、飯食ってただけなのにこんな汗だくなんだ…。 口直しに食後のデザート(ほぼ味がわからない)を食べていると、ふとあることを思い出した。 「なぁコタロー」 「ん?」 「コタロー、昨日佐々木先輩に告られたよな?」 佐々木先輩は俺の一つ上、二年生だ。 前々から兄貴について聞いてきてた、可愛らしい先輩。彼女が何故か俺に「告白するんだ!」と意気込みを語ったもんで、頑張ってくださいとしか言えなかった。いや、だって相談なら「フられるからやめといたら?」とか言えるけどさ…意気込みを語られては……。 「先輩…やっぱフったの?」 結果なんて目に見えているが、仲良く話してた先輩が自分の兄にフられるのは…複雑だ。 「あー…うん。好きじゃないのに付き合うのは逆に失礼だしなぁ」 そう言って苦笑する兄貴。 そうだよなぁ…失礼だよな。でも、先輩落ち込んでたり……しないな。あの人ポジティブ思考だから。 …月曜、先輩に会って見ようかな。
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