二章 初日、目覚めた後

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「それじゃ、また」 「あ…」 僕は彼女に声をかけることが出来ずに、彼女は部屋の中へ戻ってしまった。 それでもまだ心拍数は平均以上を維持したままなかなか下がることはなかった。 「名前…聞きそびれちゃったな…」 でもお隣さんだからすぐ会えるだろうという、僕らしくポジティブに考えることにした。 あの人も仲良くしようって言ってたし。 僕はようやく窓を閉め部屋の明かりをつけた。 引っ越してきたくせに、ほとんど何も持ってきてない。 自分に最も必要なものを最小限持ってきただけだ。 後で必要だと思ったら、実家から持ってくればいいことだし。 僕はとりあえずまだ知らないことだらけなので、梓さんのあの言葉に甘えることにした。 とりあえず財布と携帯をポケットにしまい込んで、僕は部屋から飛び出した。 扉を開けば綺麗な木製の床の廊下。その廊下を歩いてゆくと一番端に301が見えてくる。
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