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僕が求めたのは恋だった。
「じゃあ帰りますか」
「あ、はい!」
僕と梓さん、二人で夜道を歩く。ほんの少し前までは、まだ明るかったような気もする。
まだ夏までは遠いと言うことなのかもしれない。
「ヒデ君は彼女いないの?」
少し驚くが、僕はあくまで冷静を装って話した。
「いませんよ」
「意外~。いると思ったのに」
「そうですか?そんな風に見えますかね」
「うん、背はちっくいけど、顔も性格も悪くないと思うよ」
梓さんにそんな風に言われると、随分気持ちがいい。
いきなりそんなこと聞いてくるなんて、もしかして梓さんは僕に気があるのか?
少し妄想の度が過ぎた。そんなわけない。なんて事ない普通の会話だ。
「梓さんは?梓さんはどうなんですか?」
「うん?」
「その…彼氏とか…」
ついに僕は聞いてしまった。
もう自分で自分を褒めてやりたい気分だ。
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