二章 初日、目覚めた後

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彼女は少し遠い目をしながら目を細め、苦笑いすると言葉を吐いた。 「いないよ。なんだかうまくいかなくて」 (彼氏がいない!?と言うことは…) 僕が梓さんと結ばれることも無きにしもあらずと言うことだ。 そんな浅はかな思考が生まれた時、頭の中にもう一つの顔が浮かんだ。 一美さん… 僕としたことが、どうやら妄想の中で浮気してしまってるようだ。 「人生ってうまくいかないものですよね。よくわかります。僕も痛いほど痛感してきましたから」 「そうなの?なんかヒデ君てポジティブっぽいから、そんな事言われると変に感じるね」 ガーーン 心をえぐられる様なショックを受ける。 (し、しもた…) 計算違いだった。 相手が僕より年上だから、僕は彼女に新たな一面を見せようと背伸びしたのが裏目に出た。 早まりすぎた。 「でも大学生だもんね。それくらい考えるのも当たり前だよね」
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