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彼女は少し遠い目をしながら目を細め、苦笑いすると言葉を吐いた。
「いないよ。なんだかうまくいかなくて」
(彼氏がいない!?と言うことは…)
僕が梓さんと結ばれることも無きにしもあらずと言うことだ。
そんな浅はかな思考が生まれた時、頭の中にもう一つの顔が浮かんだ。
一美さん…
僕としたことが、どうやら妄想の中で浮気してしまってるようだ。
「人生ってうまくいかないものですよね。よくわかります。僕も痛いほど痛感してきましたから」
「そうなの?なんかヒデ君てポジティブっぽいから、そんな事言われると変に感じるね」
ガーーン
心をえぐられる様なショックを受ける。
(し、しもた…)
計算違いだった。
相手が僕より年上だから、僕は彼女に新たな一面を見せようと背伸びしたのが裏目に出た。
早まりすぎた。
「でも大学生だもんね。それくらい考えるのも当たり前だよね」
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