二章 初日、目覚めた後

21/25
前へ
/492ページ
次へ
「あぁ…そうだったね。ついてきて」 梓さんの後を追ってついてゆく。 僕らが住むこの小春荘の仕組みを早くも理解することが出来た。 一階と二階が客室。一般客専用の階だ。 そして三階は僕らの住む部屋。 基本的に一、二階と三階は切り離されている感じで、空間が隔てられているようだ。 あくまで自分の感覚としてだけど。 僕はその階段を三階まで上り、そして一番奥の突き当たりまで歩いた。 「この小春荘はトイレとお風呂は共同なの。我慢してね」 「平気です」 「男と女用に別れてるけどね」 心の中で舌打ちする。少しだけ妄想の中で混浴を夢見ていたから。 「トイレはどこにでもあるような洋式だけど、お風呂はかなりの自慢だよ」 横には僕の部屋の扉がある。つまりお風呂は僕の部屋のすぐとなりと言うことだ。 梓さんがお風呂の扉を開くと、すぐに別れ道があった。
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13229人が本棚に入れています
本棚に追加