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すみれはそう言うと一瞬だけ寂しげな顔を見せる。
するとすみれは言葉を反転させるように、笑顔すらも消えた顔で話し始める。
「いいえ…戻らないで。町を出て…今すぐ!」
その目は今までのすみれの穏和な表情を覆すものであった。
強く鋭い目と強い声、それは彼らが見てきたすみれの姿とも、全く異なるものだった。
「すみれさん…まさか…」
「早く!急いで!」
そんなすみれを見て美月は耐えきれなくなった。
「あなた!今何してるかわかってるの!?」
「いいから!私に構わないで!取り返しのつかなくなる前に!」
「あなたも逃げなきゃ!」
美月がそう言うと、すみれは笑顔を見せる。
そして美月の頭を撫でて続けた。
「優しい子。私はあなたを知らないけど、あなたは何でも知ってるのね。なら、あなたが導くのよ。さぁ、お行きなさい」
美月は涙目のまますみれに背を向ける。
「行きましょう」
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