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でももうどうしようもない。諦めて僕は二階へと上る。
二階は基本的に大したものは見あたらない。部屋が一列にズラッと並んでいるだけだ。
その通路を一人で掃除している男がいた。
「あ、おはようございます」
僕は元気よく挨拶をした。
彼はその掃除を一旦やめると、僕の方を見て笑顔になる。
「おはよう。秀樹君でしたよね?」
振り返ったその姿はあの知的メガネだった。
「あ、はい…」
(知的メガネの名前は京介だったのか)
「僕は前田京介。昨日はろくな自己紹介出来ませんでしたが、よろしくお願いしますね」
そう言って京介君は右手を差し出した。見た目通りいい男だ。
男の僕でも惚れそうだよ!
「あ、僕は葉山秀樹です。よろしくお願いします」
そして握手を交わす。
「ここの労働は初めてだよね」
「はい、まったくもって初めてです。あのちびっ子女番長は何も教えてくれなかったから」
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