十四章 夕刻、欠けてゆく夢

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「はい、名前は七瀬美月、現在十八歳、星華中央文化大学在学中、出身も地方ですね。幼い頃、両親を失い叔父と叔母に育てられ、大学に進学。普通の大学生ですね。変わったところも、習い事もしてなかったようですし」 「ふん、なら一緒に始末する。Hの噂を聞かれてたら面倒だ」 「はい」 「さて、そろそろ行こうか…。祭りが始まる…」 ―――「駅員!?ここは無人駅じゃ…」 美月は四人を連れて駅まで来たが、そこにはいるはずのない駅員が数人立っていた。 「なんか…怖い…」 そう言った梓の肩を優しく抱き寄せる憲輔。 「大丈夫…大丈夫さ…」 さっきまで信じようとしなかった杏子も、ようやく現実味を帯びてきたそれに畏怖し、声すらも漏らすことが出来なくなっていた。 その小さな体は、長身細身の京介の体の後ろにすっぽりと収まってしまう。 「どうやら、さっきの話の証拠はそこら中にあるみたいですね…。状況はなかなか芳しくないようですが…」
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