13231人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな五人に声をかける駅員の一人。
いや、おそらく駅員ではないだろう町の人間だ。
「この駅はただ今停止中です」
「何かあったの!?」
「多少トラブルがありまして、電車は来ませんよ」
そう言った男は不敵に微笑む。
だが、そんな顔を見せつけられても京介は怯まなかった。
「トラブルとはなんですか?具体的にお願いします」
するともう一人の駅員らしき男が前に立ちはだかった。
「お前らに言う義務はねぇ。いいからさっさと帰んな。お前らはあそこに住んでる奴らだろ?」
そう言って男は小春荘を指さした。
「ですが、どうしてもはずせない用があるんですよ。だから後二分後に来るはずの列車に乗らなければなりません」
「二分後に列車は通らねえ!ガタガタぬかす前に失せろ!」
怒声が響き渡る。
数人はその声に気圧されたが、京介は微動だにしない。
京介は今の良くない状況を誰よりも感じ取っていたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!