十四章 夕刻、欠けてゆく夢

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そう、つまりは最低でも丸二時間この町に閉じこめられてしまうことになるからだ。 「一旦引きましょう」 京介が告げる。それは最も危険な行為であることも、もちろん彼にはわかっていた。 「ダメ!もし列車が来ちゃったら…」 美月は慌てて京介の言葉を否定しようとする。その言葉を遮るように京介は続けた。 「わかってます…全部わかってますよ」 五人は一旦その場を離れる。 「わかってるって何がですか!?電車のトラブルなんて嘘ですよ!乗り遅れたら殺されるんですよ!」 「数ではあっちが有利です。力も圧倒的です。こっちは丸腰、手を出されなかっただけでもまだ良かったです。が、しかし電車を逃すわけにもいきません」 美月を除く他の三人はまだ、京介ほど今の状況を飲み込みきれていない。 が、確かに今、この町が狂い出していると言う事だけは把握していた。
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