十四章 夕刻、欠けてゆく夢

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「ごめんなさいみなさん、細かく説明してる暇はないんです。美月ちゃんの情報を鵜呑みにするのなら、次の列車が生命線です。それを逃したら本当に殺されるかもしれません。だからなんとかそれに乗る必要があるんです」 「でもどうやって乗るの?唯一の駅は封鎖されてるし…」 梓の言う意見が最も現実的である。列車に乗るのは、列車が停止する駅でなくてはならない。 だが、この町にここ以外の駅はない。 「止めれば…止めればいいんじゃないか?」 憲輔が口を出す。 「止めるって…どうやって…」 「前に飛び出すとか」 「危険すぎるでしょ?止まれなかったらひかれちゃうよ!」 「じゃあ駅で止まってる時に前に出て妨げれば?」 「そんな事しても乗せてくれないと思いますが…」 今度は杏子が意見を提案する。 「強行突破!」 「それが無理だから困ってんだろ?」
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