十四章 夕刻、欠けてゆく夢

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パァァァン… 音、よく聞く音が空気を揺らした。 ガタン…ガタンガタン… 地を揺らす音と共にそれは確かにここへ近付いてくる。 今まさに太陽が沈もうとしている矢先、暗闇が世界に浸透していくその世界に強い二つの光の筋が出来上がった。 「電車だ!」 誰もがそれに釘付けになっている時、駅員は臨戦態勢に入っていた。 腰元に装着されたナイフを手に握りしめる。 駅員から彼らまでの距離は約五十メートル。 当然駅員は、電車が来たことにより彼らがあれに乗ろうとする事を知っている。 駅員達はそうなった場合の時、今度こそ生死問わずそこでくい止める気であった。 「やっぱり嘘だったんだ!あれに乗るんだ!さぁみんな行って!」 「ダメです!」 全員を再び引き留める京介。 「バカか!お前自分で言ったじゃねぇか!あれに乗らなきゃダメだって!」 「その通りです!だけど餌に引き寄せられても、その前に殺されますよ!」
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