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駅のホームに列車が止まる。空気音と共に一斉に片側の扉が開いた。
「さっきは電車はなかった。だから僕たちは殺さずとも良かったかもしれません。逆に今なら、彼らは決死に僕らを引き留めるでしょう。そう、たとえ殺してしまっても…」
五十メートル程の距離はあるが、殺気が目に見えるかのようにそこにあることがわかった。
まるで妖しいオーラを纏うが如く。
「じゃあどうすんだよ!」
「………」
京介の思考でも、今正しい判断が出来なくなっていた。
「京介…」
京介の考えは間違いじゃない。
列車に乗らなくても殺される、列車に乗ろうとしても殺される。
苦悩する京介を見て、杏子もその表情に不安を浮かばせた。
ピィーーー…
笛の音。すぐに列車の扉の閉まる音。
「引き返そう…」
列車は無情に音を上げ動き出す。
「くっ…」
動き出した列車が次の駅へ向かってゆく。
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