三章 翌日、始まる毎日

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「ちびっ子女番長?あぁ、杏子ですか。確かにその名前納得だね」 小さく苦笑いを浮かべる京介君。 「じゃあ僕が教えよう。簡単ですよ。こっちへ」 僕は優しい京介君についてゆく。 「この部屋の中の掃除をお願いします。掃除機で吸い取るだけだから大したことないでしょう。ゴミ箱のゴミも集めてね」 「部屋って全部ですか?」 「うん」 全部の部屋。その数八部屋。途方もない戦いな気がした。 「廊下はもう終わったから、僕も手伝います」 「あ、はい…」 心の中でもう一人の僕が叫んでいた。 (やりたくねぇよぉ、かったりぃよぉ、帰りてぇよぉ…あ、ここ家か) 「今日は特別なんです。いつもはこんなに大規模な掃除はしないんだけどね。二ヶ月に一回くらいこんな風に掃除するんですよ」 二ヶ月に一回、約六十分の一の確率を初日に引くとは、僕のヒキも捨てたもんじゃないみたいだ。 「すぐに慣れますよ。普段の掃除も、一週間に二、三回しかないから」
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