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暗い山道を一台の車が駆け抜けて行く。
「この道で合ってるよな?」
そんなことを「青山 豪」は呟いた。
「大丈夫よ。」
と、隣に座る娘の「青山 サナエ」が言った。
二人は親子である。
三年前に妻を事故でなくし、少し落ち着いたので二人で「閑静の丘」と言う田舎の観光施設に向かっている途中だ。
「だと良いんだけど………うわ!!」
と、突然目の前に人が現れた。少女だろうか?
豪は慌ててブレーキを踏み、ハンドルを切った。
(ガガガガガ)
「きゃぁぁぁ!!」
車はハンドルを切ると、そのまま崖から落ちてしまった。
突然、ガクンと、衝撃が走る
「グッッ!!」
どうやら、車は止まったようだが、その衝撃で豪は気を失ってしまった。
………………………………………………………………
「うっ、うう。」
暫くして、豪は目を覚ました。
まだ少し頭がクラクラしていた。
「どうなったんだ?いったい。」
前を見ると、フロントガラスが割れ、大木の枝が突き刺さっていた。
「そうか、この木にぶつかって止まったのか。」
豪はふと、気付いた。
「サナエ、大丈夫…か…」
そこには、娘のサナエの姿がなかった。
車のドアも開いている。
豪は車のドアを開けて車から降りた。
「お~い、サナエ~!!」
大声で呼んでみる。
しかし、返事はない。
豪は回りを探してみるが、娘らしき人物は見当たらなかった。
「仕方ない、村も近いはずだ。そこまで行ってみよう。」
豪は車の中から荷物を持ち出し、森の中を歩き始めたのであった。
「サナエ、何処にいるんだ。」
そして、森を霧が包んでいった。
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