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霧が濃くなる中、閑静の丘にある警察署に到着した。
「着きました。」
そう言うと、葉苗はミニパトの扉を開けて車から降りた。
豪もそれに習って降りる。
「おかしいわね、人がいないなんて。」
葉苗は警察署の自動ドアを通るなり、そう呟いた。
「パトロールに出てるんじゃないか?」
「全員が行くわけないでしょ!自慢じゃないけど、この警察署はこの辺では一番大きいのよ!!」
と、豪のジョークはたしなまれた。
豪だって解っている。確かに、二階建てなのだから誰かいて当然のはず。
…確かにこれは、オカシイ…
自動ドアをくぐり抜け、暫く進む。
(ガタガタ!)
と、不意に物音がした。
「誰!?」
と、葉苗が物音がした方向に叫んだ。
すると、そこには人ではないが人の形をしたナニカが立っていた。
「何なんだ、あ、あれは!?」
と、豪は悪寒を感じながら言った。
その「異形の人」は豪と葉苗に気付いたのか、一歩一歩、近づいて来たのだった。
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