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異形の者が近づく。
「と、止まりなさい!」
と、葉苗が言いながら拳銃を構える。
何故なら、異形の者の手には「日本刀」が握られていたからだった。
ヒタヒタと歩み寄る異形の者。
「と、止まりなさい!!撃つわよ!?」
歩みは止まらない。
葉苗は覚悟を決め、引き金を引いた。
(パンっパン)
渇いた、発砲音が木霊する。
弾丸は一発は胸に、もう一発は頭部に命中した。
『ウ、ウウ』
と、うめき声をあげながら、異形の者は力無く倒れた。
「な、何だったんだ、今の…」
と、豪は葉苗に聞いた。
「解らないわ、けど、この格好って、多分…」
と、そこまで言うと葉苗は黙ってしまった。
「[足軽]の兵隊…だよな。戦国時代の…」
と、豪が言う。
確かに、足軽の格好はしているが、確か…人間のはず…。
「でも、人ではないは、確実に。」
床に倒れる異形のものを見ながら葉苗が言った。
格好は足軽、見た目は人間に見えるが、体はまるで[ゴムの塊]のようだった。消しゴムのカスのような色をしている。
「どうやら、頭が弱点みたいね。ほら、ここを見て。」
と、言うと葉苗は胸の方を指差した。
その部分を豪は見てみた。
「この部分は…」
豪は驚愕した。
「ええ、心臓を貫通してるわ、けど、コイツは二発目の頭部に命中した時に倒れたわ。」
言い終わると葉苗は、念のため、もう一発頭部に発砲した。
(パンっ)
ビクンっと、異形の者が跳ねた。
どうやら、完全に活動を停止したようだ。
「なるほど。」
と、豪は納得した。
すると、
(ビシャ)
と、音を立てながら異形の者が液体に変化した。一瞬の事だった。
「なにこれ!」
「うわ、なんだ!」
と、豪と葉苗は飛び退いた。
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