―魔封師覚醒―

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それは藤原氏が全盛の、平安と呼ばれた時代。貴族文化が花開き、雅やかな遊びが行なわれ、貴族たちが我が世の春を謳歌していた時代のこと。  光あるところに影あり。 日の光の元の華やかさとは事変わり、夜の「闇」はおそろしく深かった。その「闇」を彷徨うのは人ならぬ異形のモノたち。 あわよくば人の世界を飲み込まんとする、このモノを平らげた者たちは……… 「物の本では源頼光を頭領とする武士と言われておる。が、その影に妖魔を封じ込めた一団がおった。」 「……魔…封…師!」 「そう。酒呑童子の時も、鵺のときもな。」 傀儡入道は低く答えた。 「我も傀儡のもその頃はまだ若い妖異じゃった。」 照れくさげに婆は笑う。 「悪さしたところを頭領に助けられ魔封師の仲間に加えられたのさね。」 続けて婆が羞かしげに語った。 「魔封師は妙見にちなみ七人の人間と我ら…」 「使い魔…。」 蝶吉が入道の声を遮るように、ぼやけた声でつぶやいた。 「だいぶはっきりしてきたのう」 嬉しそうにモノたちが顔を見合わせた。 「して、その頭領の名が」 「幻夜堂」image=41942344.jpg
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