9人が本棚に入れています
本棚に追加
「夢姉のそんな笑顔、初めて見た…」
そう?としか私は言えなかった…。
チョコレートケーキを食べているとカランとドアが開く音がした。
現れたのはスーツを着た男。
「早かったわね」
「近くにたまたまいたからな。何か用か?」
別人じゃない。
昨日私がキスした倖と同じ倖。
これが倖の鎧…。
倖はアイスコーヒーを頼んで近くの椅子に座った。
「どう林檎?」
「恰好良い人ですね…」
ほう、と倖に見惚れる林檎を私は羨ましく思えた。
若くて美人で明るくて…。
私には無いものばかりだった。
ケンカもするだろうが、私といるよりもきっと楽しく幸せになれるはず…。
その為に二人を見合わせたんだから。
コソコソ話に倖は青筋を立てている。
でも気にしない。
倖や林檎からは見えないように、こっそりと私が抜け出す理由を作る…。
机の上に置かれた私の携帯が震え、着信を告げた。
手で二人に誤り、電話に出た。
「あ、はい。本当ですか!?今からですか?はい、はい、では今から伺わさせてします。失礼します」
電話を切って二人に向き直った。
最初のコメントを投稿しよう!