Past

4/8
前へ
/38ページ
次へ
「夢姉のそんな笑顔、初めて見た…」 そう?としか私は言えなかった…。 チョコレートケーキを食べているとカランとドアが開く音がした。 現れたのはスーツを着た男。 「早かったわね」 「近くにたまたまいたからな。何か用か?」 別人じゃない。 昨日私がキスした倖と同じ倖。 これが倖の鎧…。 倖はアイスコーヒーを頼んで近くの椅子に座った。 「どう林檎?」 「恰好良い人ですね…」 ほう、と倖に見惚れる林檎を私は羨ましく思えた。 若くて美人で明るくて…。 私には無いものばかりだった。 ケンカもするだろうが、私といるよりもきっと楽しく幸せになれるはず…。 その為に二人を見合わせたんだから。 コソコソ話に倖は青筋を立てている。 でも気にしない。 倖や林檎からは見えないように、こっそりと私が抜け出す理由を作る…。 机の上に置かれた私の携帯が震え、着信を告げた。 手で二人に誤り、電話に出た。 「あ、はい。本当ですか!?今からですか?はい、はい、では今から伺わさせてします。失礼します」 電話を切って二人に向き直った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加