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それでも離れられないのはきっと、私のワガママに底が無いから…。
「…夢」
「なに?」
「側にいて…」
「断るわ」
「…」
夜の風に揺れる貴方の髪。
サラサラと…。
貴方の髪の先から爪先まで想ってるんだよ。
貴方は知らないだろうけど…。
「…早く恋人を見付けなさい」
「もう居る」
「誰?」
「夢」
「私への気持ちは夢幻と一緒よ。恋人が出来たら紹介してね?」
「……」
首に回した手が貴方を捕えた鎖に見えた。
私よりゆっくりと流れる心音。
まるで『星に願いを』みたいに優しい…。
「恋人連れて来たらずっと一緒に居てくれる…?」
「倖の彼女が料理出来ない子だったら私が教えてあげる。要らなくなったら私は夢になるの。本当の夢に、倖の中で…」
「夢消えないで…。他の奴のものになんてならないで…」
「無理よ。私は寄生虫だから」
私の剥き出しの腕に落ちてきた温かい滴。
泣かないで。
大丈夫。
貴方をこれ以上苦しめないために、もうすぐ私は消えるから…。
「他人の命を奪いながらしか私は生きれない。倖の命がかげる前に、私も次を見付けないと…」
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