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高校の帰り、疲れた体で自転車をこいでいると、コンビニの前に見覚えのある男がいた。
遠くからでは確認出来なかったので、近づいてみると、その男は幼なじみの櫻川二郎だった。
高校に入ってから、私達が会う機会はここだけ。
「二郎~!」
「おぅ、茂木さんじゃ~ん」
ユルい挨拶をした後、私達は学校の事などの世間話を始めた。
そして自然と恋人の話になってくる。
「彼氏できた?」
「はぁ?できるわけないし。そっちこそ、彼女は?」
「あ~、俺モテないから」
うそつけ。中学の時、一つ下の彼女いたじゃん。
でも、二郎の周りにはいつも誰かいたし、それが女の子の場合もあった。だから、二郎に思いを寄せている人は絶対いる。
「じゃね」
「じゃあね~」
そう言って、お互い絶妙なタイミングで別れる。私達が話す時間は、ほんの数分だけ。
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