第四話 それぞれの夢

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(ちょっと無理矢理過ぎたかな……) キッチンで自分用の弁当とミストの昼食を作りながら、霙がちらっと後ろに視線を送ると、ソファの上で霙の寝具を体に巻き付け、テレビを退屈そうに眺めている少女の横顔が見えた。 ……ここまでしてミストを学校に行かせないのには、理由がある。 もちろん、まだ本調子じゃないコトも理由の1つなのだが…… 『ーーーーーーーーっ!!』 あの、声にならない悲鳴。 あれが、ずっと引っ掛かっている。 最近、うなされているコトが多くなったミスト。 「――何か嫌な夢を見てるんじゃないか?」 昨夜、思い切って霙がそう切り出した後、ミストはずっと黙っていた。 けれどその沈黙は肯定の証だった。
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