櫻井優里

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  階段を下りると、 お母さんは静かな空間の中 リビングのソファーに腰を掛け、 黙々とパソコンを触っていた。 そんなお母さんを横目に 私は黙って席に着き、 静かに手をあわせた。 ――同じ空間にいるのに、 私達は何一つ言葉を交わさない。 そして数分後、 食事を済ませた私は 玄関前の全身鏡の前に立ち、 軽く身だしなみをチェックして 重い足取りで家を出た。 「行ってきます」 それだけを言い残して…… ――一歩外へ出ると、 目の前を同じ制服を着た 学生達が通り過ぎて行く。 友達同士や恋人同士、 みんな学生生活を 満喫しているように思えた。 そして私もその学生達と共に 学校への道のりを歩いた。  
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