2.挨拶

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教室の扉を開けた瞬間、頭に軽い衝撃が走った。 「っ…」 「わっ…粟生ちゃん頭真っ白…」 「………(怒)」 真っ白な視界の中、頭に乗っかっているモノを右手で床に落とす。どうやらモノは黒板消しだったようで、ついでに床も白くなった。 「あーっはっはっは!粉だらけでやがんの!馬鹿みてー!!あはははは!!」 「……おっさん何するんだコラ…」 「粟生ちゃん!『おっさん』じゃなくて『理事長』って呼ばなきゃ…」 「そーだぞ粟生くん。ちゃんと『理事長サマ』と呼びなさい」 「例え犯されそうになっても御免です」 しれっと言いのけると既に臨戦態勢のおっさん―本名は西園一(さいえんはじめ)とか言ったっけこの理事長…―は遥に押さえられていた。 「殴っちゃ駄目ですってば!!」 「離すんだはるるん!男には戦わなくちゃいけない時があ…」 「っだから『はるるん』はやめろって言ってんだろっっ!!」 どかっ… おっさんを押さえてた筈の遥の右腕は綺麗なアッパーを見せてくれた。狙った獲物は逃さない、狙った獲物は…おっさんの顎だったというのか…。 「ぎゃあぁぁあ舌噛んだぁぁあぁ!!」 「あぁっ…!理事長すみませんつい…」 いつも通りのような、そうでもないような二人のやりとりを見ながら頭の粉を払う。と、誰か別の手が僕の頭を払ってくれた。 「……?」 「大丈夫?頭水道で洗った方がいいと思うけど…」 「…あ、朝の…」
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