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教室の扉を開けた瞬間、頭に軽い衝撃が走った。
「っ…」
「わっ…粟生ちゃん頭真っ白…」
「………(怒)」
真っ白な視界の中、頭に乗っかっているモノを右手で床に落とす。どうやらモノは黒板消しだったようで、ついでに床も白くなった。
「あーっはっはっは!粉だらけでやがんの!馬鹿みてー!!あはははは!!」
「……おっさん何するんだコラ…」
「粟生ちゃん!『おっさん』じゃなくて『理事長』って呼ばなきゃ…」
「そーだぞ粟生くん。ちゃんと『理事長サマ』と呼びなさい」
「例え犯されそうになっても御免です」
しれっと言いのけると既に臨戦態勢のおっさん―本名は西園一(さいえんはじめ)とか言ったっけこの理事長…―は遥に押さえられていた。
「殴っちゃ駄目ですってば!!」
「離すんだはるるん!男には戦わなくちゃいけない時があ…」
「っだから『はるるん』はやめろって言ってんだろっっ!!」
どかっ…
おっさんを押さえてた筈の遥の右腕は綺麗なアッパーを見せてくれた。狙った獲物は逃さない、狙った獲物は…おっさんの顎だったというのか…。
「ぎゃあぁぁあ舌噛んだぁぁあぁ!!」
「あぁっ…!理事長すみませんつい…」
いつも通りのような、そうでもないような二人のやりとりを見ながら頭の粉を払う。と、誰か別の手が僕の頭を払ってくれた。
「……?」
「大丈夫?頭水道で洗った方がいいと思うけど…」
「…あ、朝の…」
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