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森の中に光りが差し込んだ…。そしてその光りは、森の大いなる木の横に立っている少女に差し込んでゆく。まるで光りのカーテンに包まれているようだった。少女は瞑っていた目を開けて、歌を歌い出した。夜明けの歌を…🎶
森は起きた
風は吹き始めた
始まりがあるから
終わりもある
終わりがあるからこそ
始まりがある
だから明日は来る
誰も知らない森の中
名も無い私の歌
子守歌…
さぁ起きて
君の時は動き出したから
「あっ、母さん😃」
少女は、木の枝にいるものに顔を向けた。そこには、猿がいた。そう、少女の言った母さんは、この猿のことだったのだ。
「えっ、森の長が私を呼んでるの⁉」
少女は、いそいそと大いなる木を後にした…。
「長…何か用ですか⁉」
少女は、膝をつき木の木陰にいるものにお辞儀をした。すると、木陰からフードを被った人が出てきた。そして、フードをとり、その長い睫毛を上げて金茶に光る目を開け、フードに入っていた金色に光る長い髪を現した。誰もが見た瞬間、目を奪われる美貌だった。まるで、美の神のように…美しく、優しい光りのベールに包まれているようだった。
「子よ、お前はもうすぐ成神となります…。」
「はい、長…。」
少女は、落ち着いた気持ちの中、覚悟を決めたようだった。まるで、生を真っ当したかのように…。
「もう、時間はありません。神々にあなたの居場所が分かってしまう…。」
長は、暗い顔をし、悲しい顔をした…。まるで、我が子を思う母のように…。
「…まだ間に合います。早く、逃げなさい…。」
「長…😢」
しかし、遅かった…。もう、目と先まで神々が近づいて来ていた。まだ、成神にもなっていないのに…神々は気付いてしまったのだった…。
「いたぞ‼あそこだ‼」
神々の声が、近くで響きわたる。
「子よ、逃げなさい‼早く‼」
少女は、走った。振り返りもせずに、長の言い付けを守って、泣きながら走り続けた…💨
木々の間を通り抜け、草むらを抜け…大いなる木の所までやって来た。
「長…😢」
少女は、大いなる木の根元に倒れ込むと、体をうずめた。すると、近くで風が吹いた。しかし、普通の風とは違い、その風は、一点の場所に集まり始めた。少女は、まだ気付く事もなく、体をうずめ、動く気配もなかった…。少女は、やっと神の気配にはっと気付き、その方へと目を見た。
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