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彼女との出会いは高校1年の6月を過ぎた頃
その日はたしか平年より暑い日だったのを覚えている
木元ハルは友達の山本ケンと一緒にプールサイドでキャッチボールをしてた
山本『なぁ、次の授業なんだっけー』
ダルそうに、でも少年っぽさが感じられる山本の声がボールと一緒に投げられた
パンっ!とグローブに収まるボールの気持ちの良い音が鳴り響き、ハルはそれを間をあけてから投げ返した
ハル『あー…科学じゃね?』
山本と同じくダルそうに話すハル
そんな2人はそんな成績も良くなくて学校の行事にもあまり積極的ではない
そんなんだから担任にも入学早々『おまえら二人は諦めたから!』
なんて投げられてる
まぁ、それはそれで都合が良い位に思ってんだけど、、、、
山本『まじかー!俺科学嫌いなんだよなぁー……っと、うりゃっっっ!!』
ハル『うぉっ!ばか!』
山本のおもいっきり振りかぶって投げた豪速球がハルの左斜め上を通りすぎて体育館の中に入っていってしまった
山本『ありゃ、わりー!』
遠くで手をあげて謝る山本
ハル『はぁ、おめーよぉ…』
ため息混じりに面倒くさがりながら体育館の中にボールを取りに行くハル……
ハル『あぁ、、面倒くせー』
体育館には誰もいないように見えてボールを探すように辺りの床を見渡した
すると一人の
『これ君のボール?地味に当たったんだけど?』
その子は下から覗き込むようにハルを見た
良く見ると周りにも数人の女子がいて、なんだか全体的に、うん、イケイケな感じがした…
ハル『あぁー……ごめん』
グッと目を合わせたまま視線を反らさないその子
ハル『あの、ボール…』
居心地悪そうに言うと一瞬その子の眉毛がピクッと動いた
『痛い。あ、いててててててててて』
ハル『はいっ?笑』
絶対痛くないだろっ!って誰がどう見ても分かるくらいにわざとらしい演技
ハル(なんだ、こいつ…てか軽く俺絡まれてんの?)
多分顔に出てたんだと思う
瞬間バスっ!という音と同時に左太ももに衝撃が走った
『ドン引きしてんじゃねぇ!』
軽く蹴られた
ハル『いって!!なんだよ!』
そう言うと、間髪入れずドンッと目の前に掌を見せるその子の姿があった
『慰謝料!!!』
ハル『はぁ?』
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