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潤は手紙を読み終わると同時に、席を立ち出口に向かって走った。
「俺は何をやってたんだ。恋愛の本はたくさん読んだけどこんなこと書いてなかったぞ。何が完璧な恋愛ができるだ。そんな理想を何の疑いもなく持っていた自分が恥ずかしすぎる。そんなことよりもまだ彼女はいるのか。」
出口を出た潤は図書館の前にある公園を見渡した。
しかし、彼女の姿は見えなかった。
「間に合わなかったか……」
何とも言えない絶望感に見舞われた。
「俺は完璧な恋愛が出来ると思ってた。でも、実際はこ有様だ。何が「恋愛論」だ。何が「恋愛の法則」だ。全部、現実とは対応してないじゃないかっ。」
どこにぶつけていいのかわからないその怒りを潤は押し殺すかのように、潤は天を仰いだ。
そして、荷物を取りに帰ろうと図書館の方を向いた瞬間、さっきの女性が出口の脇の木の下に立っていた。
潤は固まった。出せる言葉もなく、ただ呆然と彼女を見ているしかなかった。
そして、彼女もまた何も言わず少し俯き加減で歩きだし、潤の横を歩いていった。
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