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「がはっ!・・・これが、名高い・・・大悪魔の・・・ちか・・・ら・・・・・・」
男はレイブンから逆さに落ち、そう言い残して消えた・・・。
「す、凄い・・・」
健也は固まって動けなかった。
「さあ、行こうか。精霊の扱い方なら、僕がゆっくり教えてあげるよ。」
青年に手を掴まれ、健也はようやく我に返った。
「あ、ありがとう・・・。あっ、僕は健也です。あなたは?」
「神山紅憐です。契約悪魔は大悪魔と呼ばれる『キュウビ』です。」
「キュウビ!?」
健也は驚いた。
キュウビというのは太古の昔より人々に厄災を与えてきた尾が9本の悪魔だ。
その力は暗黒の獄炎を操り、全てを滅するとまでいわれている。
「そんなに驚かないでください。私の先祖が昔、キュウビを封印し、その力を使役してきただけなのです。だから私にも、キュウビを扱う力があるのです。」
先祖代々受け継がれてきたとはいえ、キュウビを操るにはそれなりの魔力が必要だ。
「では行きましょう。」
青年に腕を引かれ健也は黙ってついていく。
(こんな人から契約者について聞けるなんて。でも俺には精霊も悪魔も無い。ついては行けないかもしれない。)
健也は学校を振り返った。
皆が自分を化け物か何かのように見ている。
(帰る場所も、無くなったな・・・)
自分はもう帰れない。少なくとも、この場所には。
(必死についていくしかない!)
健也は覚悟を決め、紅憐についていった。
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