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「なんだ一体!?何に弾かれたというんだ!まさか、精霊か?」
男の驚愕の声が辺りに響く。
(た、助かったぁ・・・)
健也は安堵の息をついた。
「へぇ・・・悪魔の力を契約者解放の程度の力で跳ね返すのか、君、おもしろいよ。」
健也の横に、いつの間にか背の高い青年が立っていた。
「駄目だ!ここは危険だ!早く逃げて!」
健也は青年に忠告を促した。
しかし、青年は微動だにせず、むしろ、笑っているようにさえ見えた。
「君、おもしろいから契約者の力の使い方がわかるようになるまで、僕がいてあげるよ。」
青年は健也を見てニッコリと笑った。
それを見て、健也はあることを確信した。
(契約者・・・)
彼が契約者なら、この余裕もわかる。
「なんだお前は?随分妙な魔力を持ってるじゃないか。」
その言葉を聞き、青年は急に悪魔のような目付きになり、レイブンの上にいる男を睨み付けた。
「失せろ!所詮下位悪魔しか操れん低能な契約者風情が!」
今までの彼とは思えない気迫だ。
これが戦う者に見られる闘争心なのだろう。
「ちょっ、ちょっと待て!俺が用があるのはそのチビだって!」
レイブンを操る男は、急にたじろぎだした。
「私も彼に用がある。貴様には・・・消えてもらう!」
青年は手を前に突き出した。
そこに火炎の弾が集束する。
「ま、待て!紅蓮の・・・」
しかし、その時にはすでに火炎弾が発射され、10個の弾に分裂し、全てがレイブンの体と、男の体とを焼いた。
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