日常 ~ Daily ~

4/30
前へ
/716ページ
次へ
  「よりによって奈美姉さんの授業で寝ちゃうとはね!! スゴイですなぁ~」  顔には満面の笑み、コイツ明らかに楽しんでいる。 「なんでか知らねぇけど寝ちまったんだよ。別に眠くはなかったんだけどな……」  それは本当だ。昼食を取ったすぐ後の授業だったが始めはまったく眠くなかった。何故か、いつの間にか寝ていたのだ。 「そりゃアレだ」 「なんだよ?」  獅郎がわざとらしそうに目を閉じて指を立てる。 「老化」  15才で老化、いくらなんでもそれはないだろう。というか15才はまだまだ成長期だ。大体、急に眠たくなるのが老化だなんてわけがわからない。 「いや、わっかんねぇぞ?」  そう言って顔は嫌らしくニヤニヤと笑っている。馬鹿らしい、本気で言っているわけではないだろう。 「災難だったね、涼介」  獅郎より少し高い声、そこには男子にしては少し身長が足りない男子が立っていた。 「自業自得だ、仕方ねぇよ」 「そうだね、篠崎先生の授業で寝ちゃったんだから」  そう言ってクスクス笑っている。 「笑うな、光司」 「あはっ、ごめんごめん」  金村光司<カネムラ コウジ>。コイツも小学校からの馴染み。見た目は草食の癒し系であり、同い年にも年下に間違われるほどの体躯と童顔だが、これでも男子バスケットボール部に所属しているバスケ少年である。  
/716ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1915人が本棚に入れています
本棚に追加