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ふと見ると俺の他に、車が途切れるのを待っている人影が見える。
後ろ姿だがどうやら高校の制服、紺のスカート、制服からして暁校生ではなさそうだが、やはり女子高生だろう。
腰までありそうな長い黒髪を揺らし、彼女は俯いてキョロキョロと何かを探しているようだった。
(何やってんだろ……?)
こんな道端で落とし物でもしたのだろうか。こんな交通量もそこそこの公道に落とし物なんて、危ないし落とし物も無事ではない気がするのだが。
頭に響く音で外の音はあまり聞こえないが、地面に響く振動は伝わる。
見ると大型トラックが、信号が替わりそうにないのをいいことに、坂になっている車道をかなりの速さで下ってくる。
(こんな片側一車線の公道で、速度違反だろうに……)
その時、突然起きた出来事に、一瞬だけ呼吸が止まる。
キョロキョロとさっきから挙動不審だった女子高生が、いきなり道に飛び出したのだ。
(自殺っ!?)
トラックの運転手が驚いて青ざめているのが見え、イヤホンをしていても聞こえるほど大音量のクラクションが辺りに鳴り響く。
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