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まるで夢やテレビのように全てがスローモーションで、時間がゆっくり流れて見える。女子高生は驚いたようにトラックを見た(!?)
「なっ、なにやって……!!」
言い終わるより先に身体が動き、カバンを振り落として駆けていた。あらんかぎり伸ばした手が彼女の服を捕らえ、力の限り引き戻す。
巨大なトラックが地面を引き裂くようなブレーキの轟音と共に、目と鼻の先を通り過ぎる。冷や汗が流れて背筋が凍る。
「ぅぉ……」
風に押されたのと反動で二人ともアスファルトに倒れる。
「ハァ、ハァ、あっぶねぇ……」
大量の汗が額から噴出しているのがわかる。自分の心臓の鼓動がうるさいくらい聞こえる。顔を上ると危うく俺たちを引きかけた、そのトラックが急停車していた。
「あぶねぇだろうが、こらぁ!!!」
トラックの窓から、見るからに厳ついオヤジの顔が怒りの形相で飛び出し、怒声を飛ばす。
それだけ言って満足したのだろう、トラックはすぐに走り出した。
「俺のせいじゃないっての……」
自分にしか聞こえないぐらいの小声で悪態を吐いた。まったく、今日は厄日なんだろうか。
篠崎の呼び出しに、人身事故寸前、かなりついてない。
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