日常 ~ Daily ~

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   しかし、本当に自殺しようとしたのだろうか?  考えて見ると、彼女が飛び出したのは明らかにトラックが見えているタイミングだったが、迫ってきたトラックを見た彼女は驚いていたように見えた。自殺するつもりだったのなら迫るトラックに驚いたりしないだろう。 (あれだけの轟音と共に迫ってくるトラックに気付かないわけないしな……)  彼女はうつむいたまま動かない。  考えている内に耳に違和感がして、いつの間にかイヤホンが耳から外れているのに気付く。彼女を引き戻すときに落ちてしまったのだろう、どうりで周りの音がよく聞こえるわけだ。待て、プレイヤーがない!? 「ヤバっ」  見るとプレイヤーが少し離れた所、イヤホンを繋げたままゴミのように地面に落ちていた。それを拾おう立ち上がった直後に、ポケットからケータイの着信音が鳴り響く。拾い上げたプレイヤーはボディが少しすれていたが再生には問題なさそうで、少し安心しながらケータイを取り出して見る。  着信は獅郎、うつむいたままの彼女に背を向けて電話に出る。  
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