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「こう兄、パスパス!!」
「させねぇぞ!!」
「とれないよぉ、ボール」
小さな子供の甲高い声が公園に飛び交う。公園の片隅に置かれたバスケットゴール、群がる男女十数人の小学生の子供の群がバスケットボールを追い回していた。
その中に一人飛び抜けた頭、男子の制服を着ているが高校生にしては、少しだけ身長が足りない気がする彼がいる。
「よっと、はは♪」
子供たちをおちょくるように、光司は見事なテクニックでボールを操り、ゴールを決めていく。それが子供たちには面白くないようで、ますます躍起になってボールを追い回すが、それではますます光司の思う壺であろうことは明白だった。
「ハァ、光司もガキンチョ共も、ハァ、よく走るなぁ」
光司はすでに無数の子供たちとバスケを始めていて、公園に着くやいなや俺は獅郎に引っ張られて、無理矢理バスケをやらされる羽目になったというわけだ。
子供相手は予想以上に疲れるようで、俺と獅郎はものの30分程度でギブアップ、そろってベンチに腰掛けて休憩していた。
「はぁ~、ホントな。暑いし、疲れた」
初夏といっても夏は夏、すぐに汗だくになってしまい、カッターシャツもその下のTシャツもびしょ濡れになっている。
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