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闇夜の道に、赤い滴がポタリ……ポタリと落ち、そして今度はバケツをひっくり返したような大きな赤がバシャッと地面に落ちて広がる。
「ァァァ……」
ぼたぼたと、大量の赤を垂らしながら人のシルエットがまるで酔ったようにヨロヨロとふらついている。
その動きはまるで、壊れた操り人形。
「ぁぁ、ァァ……あ゙────!!!!」
そして急に声を大きくして、獣のように叫ぼうとしたその悲鳴は何かにかき消される。
血走った瞳は異様なほど見開かれ、どの方向を見ているわもわからず焦点さえ定まっていない。
誰が見てもそれは正気ではない。
「かっ……は……」
肺から空気を全て出し尽くしたような声を出し、力尽きたかのように人形は膝から崩れて自身が作った血溜まりに沈む。
「……ふふ」
それは微かだが闇の方から聞こえる不敵な笑い声。
わかっていたのだろうか。
数分と経たぬ内に、血溜まりに人形が浮かび上がる。
そしてシルエットはぎこちない動きではありながら、ゆっくりと身体を起こす。
事切れたはずのそれが動き出す。
「……ふふ」
それが至極当然だとでもいうような、動揺は微塵も無い小さな笑い。
そして、壊れたはずの人形は人形に成り果てる。
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