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「さてと、そろそろ二回戦、行こうか?」
そう言って光司は、タオルをベンチに掛けてニッコリと微笑んだ。
「うへぇ!? まだやんのかよ!? オレ、パス」
獅郎はうつむきながら、追い払うように手を振った。
「仕方ないか……」
ため息をついてから重い腰を上げる。
「さすが涼介♪ どっかのヘタレ野郎君とはちがうね」
「うっせぇ」
「ほら、行くぞ光司」
高校生が休まないと続かないほどの運動量だというのに、小学生たちはまだまだ元気にバスケをやっている。
といってもルールなど無く、ただボールをバスケットに入れればいい、ような認識で全員が動いているようにみえる。
「ホント元気だな、子供って」
「涼介、なんかオヤジみたいだよ?」
ははっと笑いながら光司は少年からパスを受け取り、そのままドリブルをして小学生の群に突っ込んで行く。
「ホントな」
そう小さく呟いて駆け出す。自分で言っておいて思わず笑える。
光司は相変わらず上手い。クロスオーバー、バックロール、テクニックの無いがむしゃらな子供たちを意図も簡単にかわしていく。
レッグスルー、ビハインドまで、まるで子供とボールを弄んでいるようだ。ロッカーモーション、最後に待構えた少年を軽くかわしてレイアップを決める。
子供たちからは、歓声とブーイングが沸き立った。
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