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「おいおい、子供相手に本気出すなよな」
「本気ってわけじゃないけど、そうだね。ごめんね」
光司の足下で少女が涙目で、ボールを求めるように手を上げている。光司は少女にボールを渡してあげていた。
「にいちゃんも上手いのか?」
今度は俺の足下にいる少年が見上げながらきいてきた。
「あっちのにいちゃんよりは上手くないな」
「じゃぁオレでも勝てるぞ」
少年は踏反りかえって鼻の下をこする。いかにも生意気そうだ。
「だけど、お前よりは上手いぞ」
「なにをぉ、じゃあ勝負だ!! おぃ、オレにボール貸せ!」
すぐに少年にボールが飛んで来る。コイツはもしかするとガキ大将なのかもしれない。
「先に点決めた方が勝ちな?」
「いいぞ」
「しゃあ、いっくぞぉ」
少年はそれなりのドリブルで駆けて行く。少年の行く先に道が開けて行き、あっという間にバスケットの下に到着しそうになっている。
(ヤバっ)
慌てて駆け出す。幸い、高校生の脚力があれば追い付くのは簡単だが少年は既にシュートのモーションに入っている。
小学生なのだし、身長的にレイアップは厳しいのか。
「も~らいっ♪」
少年が勝ち誇った声を上げて、ボールが手から離れてバスケットに向かう。
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