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だが、そのボールはバスケットに到達する前に弾かれる。
「んなっ!!」
少年が驚嘆の声を上げる。なんとかブロックに間に合った。
小学生と高校生、その身長差は歴然、上手くすればブロックすることも可能。俺はシュートされたボールを片手ではたき落していた。
「惜しいなぁ♪」
「くっそぉ、ボール!!」
弾かれてコントロールを失ったボールは、少年が来た道を跳ねていく。
「今度は俺がもらうぞ」
走ってボールを掴まえにいく。
見ると、跳ねていったボールが止まっている。ボールはキャップをかぶったあの少年の手中に収まっていた。
少年は無言のまま、ボールを持って立っている。
「返してもらえる、ボール」
「…………」
キャップの少年は相変わらず無言のまま、ボールを投げてよこした。そしてやはり表情が見えないそのままで立ち尽くしていて。
「……キミ、やってみる?」
駄目元で聞いてみて、その少年にボールをパスする。
少年が意外そうな……そんな感じの表情をしているように見えた。
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