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「涼にぃ……あのさ、一応おれ勉強してるんだけど?」
「は、その格好で?」
勉強しているのにテレビを点けられたことが不満らしい。
テレビでは地方版のニュースが流れていた。最近この近辺で不可思議な行方不明事件が多発していることを報道している。
「そうそう、澄輝はこれでも勉強してるわけよ」
呆れ顔で紅澄葉がダイニングに顔を出す。
「くずは~、これわっかんねぇよ」
澄輝が顎を机についたままうなった。
「はぁ、どれどれ?」
紅澄葉は冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注いでいる。
見ると確かに澄輝は勉強しているらしく、食卓の上には勉強道具のようなノートが広がっている。
「んっと、これはここをこう」
「へ? なんでそうなるんだよ?」
「なんで……って、公式なの!!」
見ているとまるで出来の悪い弟をたしなめる姉に見えて仕方ないが、実際は澄輝の方が兄で紅澄葉の方が妹なのだ。
「お前らもテストがあるのか?」
「うん。けど澄輝のヤツ、部活に夢中で今まで全然勉強してなかったの。それでこの様」
呆れた表情で紅澄葉が言う。
なるほど、どうりで普段は部活で帰宅が遅いはずの2人がこの時間帯に家にいるわけだ。
「うっせ~な、えぇ~と……」
憎まれ口に反発しながらも澄樹は真剣に問題と格闘している。どうやら本当に本気で勉強しているようだ。
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