1915人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
焦げ臭い匂いの混じったカレーをたいらげてしばらくテレビを見た後、階段を上がって明かりの点いていない暗い廊下を二階の自室に向かって歩く。
「げふ……」
足取りは重い、久しぶりに不味いカレーを食べた。中学の校外実習の時に飯盒で失敗して焦げ付いたご飯で食べた……罰ゲームのようなあの時のカレー。
それに匹敵するほどではなかったが、そるに近い味がした。
今日は本当についてない。迷信かもしれないがやはり、あの黒猫が目の前を通り過ぎたからだろうか。
本当は勉強をしないといけないんだが……やめだ、寝よう。
自室のドアを開けて明かりを点ける。
「ん?」
真っ先に目を向けた先、部屋に入った正面、窓脇に設置されたベッド。その上に黒い物体が乗っている。
明るさにまだ目が馴れていないのか視界は霞んでいる。
「い゙!?」
黒い物体の尻尾のようなものが動いた。だんだんと目が馴れてきた。
黒い物体、漆黒の身体に真紅の瞳、間違なくあの時の黒猫だった。
(なんで家の中に猫が!?)
何よりも先ず率直な疑問が湧き上がる。
親父がアレルギーで毛がダメなので、我が家は猫なんて飼っていない。だとしたら外から入ってきたのだろうが……。
(おいおい……一体どこから入ってきたんだよ!?)
「窓からだ」
(いや、窓は閉めてたはずだし鍵も……)
「鍵はかかっていなかったぞ?」
(マジかよ、って)
あれ? 物凄い違和感が押し寄せる。
最初のコメントを投稿しよう!